7年間の塾の講師時代にたくさんの生徒を指導する中で、意欲がある子どもとない子どもの明らかな違いを実感しました。それは、「成功体験」です。
成功体験と言っても、大きなものでなくていいのです。例えば塾や学校の小テスト。10問の漢字テストで8問以上の正解を目標にやってみるとします。見事クリアしたら「できたね!」とほめて次の目標へ。クリアできなかったら覚える範囲を5問に減らして再挑戦。必ずクリアできるところまでハードルを下げて、「できた」体験を増やしていきます。
「意欲がある子ども」は、実はこの小さな成功体験をたくさん経験しているのです。それは勉強以外の習い事やスポーツかもしれませんし、家の手伝いや弟・妹のお世話かもしれません。自分自身が「できた」と実感して喜べる体験をたくさん持っていると、どんな時でも「何とかなるはず」という自信があるためモチベーションが下がることなく、学ぶ意欲が自然とわいてくるのです。親と子が一緒になって小さい目標を共有し、「できたらほめる」を繰り返して、成功体験をたくさん実感できるようにサポートしてください。
嫌いな科目、点数がとれない単元を克服するために弱点強化するのはわかりますが、そればかりでは子どもの意欲が続きません。遠回りなようですが、まずは好きな科目を伸ばすことが大切です。はじめから苦手科目をガンガン強化するのではなく、得意科目で自信をつけたら嫌いな科目もやれそうな気がしてくるので、そのタイミングで苦手科目に取りくんでみる・・・ちょっとしたことですが、そのタイミングの違いでやる気がぐんと出るものです。
目標をうまくクリアできなくても、それはがっかりすることではありません。そこに向けてがんばったプロセスを必ずほめてあげてください。
点数が上がらなくても、今はまだ筋トレ中だと思って親があせらないことがポイント。難易度を下げたり、範囲を狭めたりして「クリアすること」を目標にし、「できた」を積み重ねることが大切。「50点取れた(=できた)」なら、次に50点取れるとそれが「当然」になります。次に「70点取れた」あとの70点も「当然」に。「できた」が「当然」になって着実に力がついていることをしっかりほめて、見守ってください。
成長は、横ばいがしばらく続いた後に上がっていく曲線。ただし、伸び悩む期間が長くて不安なら、先生と確認しながら丁寧にケアしていくといいですね。
テストが返ってきて思ったよりも点数が取れていなかったら、「これって結構難しいよね」「ここまではできていたね、おしいな」「ちょっと気を抜いたかな」などの声かけを。「努力が足りなかった」「こんなにできていない」などやる気を失わせたり、否定的に責めたりせず、過去の悪かった点や失敗などを引っ張り出さないように注意。子どもから次の目標を引き出すように持っていくことが大切です。勉強に関することを少しでも言い出したらいい傾向、ぐらいに思って下さい。
第1回「伸びる子どもの親とは?」|第2回「勉強に対する子どもの本音とは?」
第3回「塾から親へ望むこととは?」|第4回「算数好きな子にするために」前編| 後編
第5回「子どものやる気をひきだすには?」|第6回「学習ゲームの魅力とは?」